サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン 文献4

Efficacy of proteoglycan derived from salmon nasal cartilage on knee discomfort in healthy volunteers —A randomized, double—blind, placebo—controlled intergroup trial—

Yuji Kuriyama, Yasushi Yoshida
Department of General Medicine, Juntendo University School of Medicine

要旨(和訳)


背景 プロテオグリカンは、近年、注目度が高まっている機能性素材であり、膝関節炎への有効性が示されている。そして、その有効性の機能は、免疫寛容を介した抗炎症作用によってもたらされるとされている。
方法 本試験では、鮭鼻軟骨由来プロテオグリカンを健常人に16週間摂取させ、膝関節の違和感や痛みの改善を評価した。被験食品群は、プロテオグリカン源として鮭鼻軟骨抽出物を配合した錠剤1粒から1日1回プロテオグリカン(900~1400kDa)を10mg摂取した。試験では、変形性膝関節症患者機能評価尺度(JKOM)ならびに5項目(安静時・歩行時・階段の上り下り時・立ち座り時・10分起立時の膝関節の痛み)のVisual Analogue Scale(視覚アナログ尺度、VAS)アンケートを主要評価項目とし、副次評価項目として、繰り返し10回負荷のアンケートならびに3種のバイオマーカー(血清CPII、尿中CTX-II、血清C1,2C)を用いて評価した。なお、被験者選定は、境界域の被験者が含まれないよう厳密に行い、試験後にバイオマーカーでも評価した。
結果 試験の結果、歩行時のVASアンケートの変化量にて、摂取16週間後における群間比較で顕著な有意差(P<0.000、Mann-WhitneyのU検定)が示され、被験食品の膝関節への有効性が示された。また、50歳以上の条件(開始時にスコア10を除外)による階層解析において、摂取16週間後における階段の上り下り時のVAS(P=0.031)ならびに違和感を生じたスクワット可能数(摂取16週間後:P=0.034、変化量:P=0.002)でも、有効性が示された。バイオマーカーは、値の減少は示されたものの、群間で有意差は示されなかった。また、それらの値より明らかに健常人が被験者として選定されていることが示された。
結論 本試験より、健常人が鮭鼻軟骨由来プロテオグリカンを摂取することで歩行時の膝関節の違和感ならびに50歳以上の被験者における階段の上り下り時の膝関節の違和感、スクワットのような膝の曲げ伸ばし対する違和感を改善・予防することが示された。
(UMIN ID: UMIN000041641)

※英文翻訳前の和文要旨

Japanese Pharmacology & Therapeutics. 2021 49(11): 1925-1935