健康食品サプリメントの原料製品

健康商品サプリメントの原料製品には、様々なものが存在します。

まず、原料製品は、食品添加物食品添加物以外の原料に分類することができます。
中には、両者が混ざった原料製品も存在します。

例:環状オリゴ糖で包接加工を行った山芋抽出物原料(ジオスゲニンCD
原材料表示:山芋抽出物/環状オリゴ糖(食品添加物)
山芋の有効性ジオスゲニンを環状オリゴ糖で包接加工された原料製品

そして、両者の原料は、それぞれ更に細分化されたカテゴリーに分類することができます。

食品添加物以外の食品

食品添加物以外の食品原料製品も、いくつかのカテゴリーが存在します。

1.粉砕粉末
2.エキス末(抽出物)
3.発酵生産物
4.化学合成品

それぞれを解説いたします。

1.乾燥粉末

粉砕粉末は、由来となる粗原料(天産物)を乾燥して粉砕しただけの原料です。物によっては、チップ上の粗原料を熱滅菌して粉砕しています。

マカや高麗人参のような人参系素材、生姜・桂皮・甘草のような漢方系素材、大麦若葉やケールなどの青汁系素材が代表例です。また、植物系に限らず、動物系や菌糸体系(キノコ)の粉砕粉末も多く存在します。

なお、青汁に用いられる大麦若葉末などは、殺菌工程がポイントとなります。熱をかけ過ぎないで綺麗な緑を保ったまま殺菌を行う必要があります。また、根物の素材は、土壌菌(主に大腸菌群)のコントロールが難しく、しっかり熱殺菌を行う必要があります。

2.エキス末(抽出物)

エキス末は、粗原料となる天産物を熱水やエタノールなどの抽出溶媒で抽出し、ろ過・濃縮してスプレードライなどで粉末化された原料です。
原料の中には、抽出後に特殊な精製工程があるものがあったり、限外ろ過など特別な分離ろ過が行われるものも存在しています。

機能性食品原料の多くは、機能性関与成分を濃縮するため、様々な分離精製が行われています。カプセルや錠剤に配合できる原料の量は限られているからです。また、酵素や酸で処理されたり、中には発酵工程を含む原材製品も存在します。

エキス末の原料は、デキストリンなどの賦形剤を用いずに粉末化加工されている原料製品と、加工性や安定性を高めるのに賦形剤を用いている原料製品が存在します。
一般的には、糖質を多く含む素材は、賦形剤の利用が必要になることが多いです。

なお、ドリンクやゼリー用の原料として、粉末化されていない液体状やペースト状のエキス原料も存在します。

※原則、抽出溶媒は、水またはエタノールと食品衛生法で規定されています。ただし、油脂のみ、ヘキサンやアセトンでの抽出が認められています。

エキス末の多くは、GMPやISOなどの管理基準で製造されていることがほとんどです。上記は、弊社提携工場の写真ですが、分離抽出を目的とした1トン以上の充填剤が入る大型カラム(左上)も設備しております。

3.発酵生産物

プロバイオティクス原料のような発酵生産物は、乳酸菌やビフィズス菌など有用微生物を培養して増やし、培地を除去して粉末化される原料です。
殺菌される原料もあれば、微生物が生きたままの原料も存在します。

※衛生管理の観点から、多くの工場は生菌原料に対応しておらず、近年、殺菌乳酸菌の原料製品化の方が主流となりつつあります。

また、ミネラル酵母のように、培養された酵母にミネラル源を入れ、酵母にミネラルを吸わせた後、洗浄・乾燥・粉砕して粉末化する原料も存在します。

この分野は、日本が独自の文化で発達し、技術的に日本が強い分野です。古くから培われた醬油・味噌や日本酒などの技術が活かされています。

4.化学合成品

医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リストの中には、3.その他(化学物質等)という項目が存在し、様々な成分が収載されています。
β-ニコチンアミドモノヌクレオチドやL-カルニチンなど、それらの成分は、化学合成や酵素合成も認められている成分も多く存在します。

また、合成は行っていなくても、培養された酵母や乳酸菌から抽出・精製して得られる原料製品や天産物から抽出して精製・合成(安定化などの目的)が行われている原料も数多く存在します。

例えば、グルコサミンは、塩酸塩(既存添加物)にしてしたり、酢酸等でアセチル化してアセチルグルコサミンに合成されたりしています。

食品添加物

食品添加物も、既存添加物や指定添加物など、いくつかのカテゴリーに分類されます。

ビタミン・ミネラル・アミノ酸原料の多くは、指定添加物として登録されています。この指定添加物は、厚生労働大臣に食品添加物の成分規格や使用基準、安全性に関する資料を提出し、厳格な審査が行われた上で認められます。

近年の傾向として、指定添加物として登録されるより、先述の「3.その他(化学物質等)」で登録されることが増えております。

また、指定添加物は、特徴として、高純度のものが多いです。一部の脂溶性ビタミンも、高純度に精製後に倍散されている原料が多いです。安全管理上、高純度な単一成分の方が管理しやすいからでしょう。

既存添加物は、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売などが認められたものです。
健康食品サプリメントでは、マリーゴールド色素(ルテイン)・ウコン色素(クルクミン)・グルコサミン塩酸塩・未焼成カルシウム(卵殻・貝殻・造礁サンゴ)などが用いられています。

こういった食品添加物は、栄養強化目的に限定されず、様々な用途で用いられています。また、食品添加物も、機能性食品原料としての研究開発が行われるケースも少なくありません。

食品添加物と聞くと、ケミカルなイメージが強いですが、特に既存添加物のように、天産物から抽出・精製された添加物も多く存在します。実は、必ずしもケミカルなものばかりではないのです。

機能性食品原料の研究開発

上記のような機能性食品原料は、まず起源となる天産物から有用成分を探し出し、その成分を分離抽出して有用性・有効性を評価するという手順で研究開発が行われます。
そして、有効性の評価は、特殊な試験管試験やラットやマウスなどの動物試験を行い、最終的に、ヒト臨床試験を実施して行っていきます。

なお、ヒト臨床試験を実施する場合、事前に動物試験による安全性評価が行われていることが一般的です。安全性評価は、さまざまなレベルなものがあり、米国の自己認証GRASでは90日間反復投与毒性試験や小核試験、エームス試験など安全性評価試験が国際基準で実施されていることが求められたりします。

原料製品の産業化が進むと、多額の研究開発費が投じられ始めます。弊社も、1000万円以上のコストがかかる研究開発を定期的に実施しております。

また、近年、機能性食品原料は、その有効成分を機能性関与成分とし、ヒト臨床試験の結果を用いて機能性表示食品として申請を行うケースも増えております。

※有効成分の探索などの基礎研究は、大学機関によって行われることが多いです。研究を進めることで、少しづつ民間からのオファーも増え、共同研究などが増えていきます。そして、原料製品化、有効性や安全性の評価は、民間企業主体で実施されていくことが一般的です。

特許申請について


機能性食品原料の研究開発の過程において、特許申請が行われるケースが生じてきます。

大学機関で特許取得されることもあれば、民間企業で特許取得されることもあり、ケースバイケースで特許取得されます。

大学機関は、研究成果の1つとして、特許申請を行われることが多いです。一方、日本では、米国などと異なり大学が特許を利用してビジネスを行いにくい実情があり、かつ日本企業は、大学側の特許を嫌うケースが多いです。

ちなみに、特許と言っても、物質特許・製法特許・用途特許など、様々な特許が存在します。用途特許などは、原料製品を使用した最終商品をイメージして取得されるため、大学機関で取得することは非常に稀で、主に民間企業で取得されています。
また、物質特許・製法特許は、強い特許になり得るのですが、先述の通り、強い特許ほど民間企業が嫌う傾向も生じてしまい、産業化の足かせになってしまうこともあるのです。

何れにしても、共同研究を行う民間企業と大学機関は、この特許周辺の取り決め(成果報酬や知財の権利など)を契約書ベースで行ってから案件を進める必要があるのです。

原料販売事業のお仕事

原料製品を販売する事業では、営業・受発注処理・在庫管理・製造・品質管理・研究開発など、様々なポジションの仕事が存在します。

営業の場合、原料製品の技術的な情報を説明できる必要があります。必ずしも理系大学出身である必要はないのですが、原料に関わる科学的な知識を付ける必要があります。

工場における原料製造(製造部門)は、一定の製造条件で製造機器(抽出窯、濃縮機、スプレードライヤーなど)を使って原料を製造します。製造している製品によって、求められるスキルも異なってきますが、理系の人材が採用されることが多いです。

品質管理は、原料製品の品質規格を維持・管理する仕事であり、分析を内製化している場合、機能性関与成分・重金属・水分値などを測定したり、一般細菌・大腸菌などの微生物検査を実施します。会社によっては、すべてもしくは部分的に外注の第三者分析機関に試験を依頼します。
主に分析機器や微生物を取り扱う試験・研究を行っていた理系学生が採用されています。

製造部門は力仕事が負いため、男性比率が大きく、品質管理は正確さ等が求められるため、比較的女性が多い傾向があります。

研究開発は、上記で紹介している内容の仕事を行うのですが、主に理系大学の大学院の人材が行います。HPLCやELISAを用いた機能性関与成分の分析など、スキルが求められる品質管理分析を担当するケースもあります。
会社毎に方針が異なるのですが、研究開発の担当者が特許申請を行うケースが多いです。

原料事業には、学術情報を管理する学術という仕事も存在します。研究開発や技術営業の担当者が兼任しているケースも少なくありません。

また、輸入品の原料製品の場合、海外仕入れや輸入通関を行う仕事も存在します。英語だけでなく、科学的知識や食品の関連法規などと、幅広い知識が求められます。

輸入原料の専門メーカーの場合、倉庫は持っていても製造工場や分析設備を持たない会社も多く、品質管理の試験を全て外部に委託しているケースも少なくありません。

なお、食品添加物を取り扱う輸入原料会社の場合、小分け業に必要な食品衛生管理者の資格を持っていると重宝されるでしょう。

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