バルク製品の小分け販売

クリニックルートでは、某外資系企業がバルクで供給して、クリニックで小分けしながらサプリメント販売するというビジネスを行った関係から、弊社OEM事業でも、バルクでの供給を求められることがあります。

一方、クリニック内で、サプリメント(未承認医薬品を除く)の小分け販売を行う場合、厳密には、以下の点を遵守しなければなりません。

・食品表示法に則った表示(製造所・製造者の表示も含む)
・食品衛生責任者の設置
・製造業:食品小分け業の営業許可の取得
(手洗いなど水回りの設備が必要)
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食品表示法では、製造所(もしくは製造所固有記号)の表示が必要になります。そのため、どうしても、食品精製責任者を置いて、営業許可の取得が必要になります。
そして、設備的な問題も生じてくるので、実は、法令順守で小分け販売を行うのは、ハードルが高くなってくるのです。

賞味期限設定

食品表示法上の表示では、賞味期限の記載が必要になります。
その場合、賞味期限の設定に対して、明確な根拠が必要になります。サプリメントであれば、成分の減衰を加味して、賞味期限設定を行う必要があります。

弊社のバルク製品の賞味期限担保は、製造から3ヶ月です。弊社のOEM事業は小分け販売を想定してらず、原則、バルク製品を納品3ヶ月以内に充填包装が行われ、2年間の賞味期限を付けることを想定しているためです。


基本的に、ガゼット袋に入ったPTP包装のバルク商品であれば、通常のサプリメントと同様な賞味期限設定(包装日から2年間)を行えるでしょう。※PTP包装自身にガスバリア性なし

一方、ビニール袋やアルミ袋に梱包されたバルク製品を小分けする場合、どうしても開封の度に空気に触れるため、その複数回の開封を加味した賞味期限設定を行う必要が出てきます。

通常、アルミ袋やプラスチックボトルなどに充填された商品の場合、賞味期限は、未開封での条件であり、開封後は、なるべく早めに使い切る必要があります。
そのため、小分け商品に対して、小分け包装から2年の賞味期限を付けることは少々乱暴であり、実際、3~6ヶ月くらい(かつバルク製造から2年以内)の賞味期限を付けることが適当だと思われます。

特に、ビタミンの場合、ガスバリア性が保たれた状態で保管されていても、経時変化で成分量が減衰してしまいます。
ビタミンの含有を強調表示している商品だと、商品での成分分析が必須で、原則、(望ましくは商品の包装形態で)加速試験まで行うことが好ましいです。

中には、マルチビタミンという商品名でも、栄養成分表示に各ビタミンの表示がないケースも少なくありません。この商品名も、強調表示に該当しますので、かなりの数の分析が必要になってきます。

NGクリエイティブ例:マルチビタミン

法律上、賞味期限内の主な品質担保責任は、小分けを行った製造所(製造者)が負わなければなりません。そのため、クリニックで小分けされていれば、賞味期限設定も、クリニックで行う必要があるのです。
複数回開封されると、バルク製品のコンタミリスクや劣化(減衰)リスクも生じます。したがって、小分けが行われた商品に対して、バルク製品を供給した会社は、品質担保責任を負えないのです。

なお、クリニックでの販売は、クローズドな売り方でもあるため、厳密な管理体制が問われにくく、法令順守で管理されているケースは少ないです。

小分け品の包材に関する注意点

まず、分包機を持っているクリニックでは、1日分を分包して提供されていることがあります。その場合、分包のガスバリア性に注意が必要です。実際、ガスバリア性がないフィルムが用いられているケースが多いです。

ガスバリア性が低いフィルムに充填する場合、ガスバリア性のある袋(例えばアルミ袋など)に分包を充填包装※して提供する必要があります。
※アルミ袋は、ヒートシール(熱圧着)まで行われていることが望ましい。

先述の通り、PTP包装も、実はガスバリア性が十分ではありません。保管時も含め、ガスバリア性がない状態で提供した場合、トラブルを生じる可能性もあるのです。

分包やPTP包装に限らず、バルクの保管状態によっても、トラブルを生じさせる可能性があります。
例えば、吸湿性の高い内容物(例:プラセンタエキスなど)が充填されたハードカプセルの場合、ガスバリア性なない状態で保管すると、内容物が固結します。

バルク製品を供給する会社は、保管状況によって、上記のようなトラブルを招く可能性があるので、開封後の品質担保が難しいのです。

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