タモギタケ由来/発酵法 エルゴチオネイン

グルタチオンサプリメント製造のポイントエルゴチオネイン(EGT、EGH)とは、キノコなどに含まれるスーパーアミノ酸の1つです。エルゴチオネインは、硫黄を含んだ含硫アミノ酸の1つであり、抗酸化作用が強く、活性酸素の害として生じるDNA損傷や過酸化脂質生成を防ぐ作用が期待されています。

このエルゴチオネインは、一部のキノコ(ヤマドリダケ:528.1mg/kg、ヒラタケ118.9 mg/kg)に限らず、オーツブラン(4.4mg/kg)、黒インゲン豆(10.5mg/kg)やレバー(8.7~10.8 mg/kg)にも多く含まれていることが知られています。

このエルゴチオネインは、抗酸化物質研究の第一人者であり、エイムステストでも有名なカリフォルニア大学バークレー校 ブルース・エイムス教授も研究を行っておられました。そして、論文では、エルゴチオネインを長寿ビタミン(ビタミンのように生命維持に必要不可欠ではないものの、長期的な健康維持に不可欠で食事から摂取しなければならない化合物)の候補として上がられていました。

Bruce N Ames. Prolonging healthy aging: Longevity vitamins and proteins. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018;115(43):10836-10844. PMID:30322941

フィトケミカルとしてのエルゴチオネイン

硫黄を含む成分は、機能性が高いことが知られており、特に、硫黄を含む植物成分フィトケミカルは、体に良いことは常識になりつつあります。

硫黄を含むフィトケミカルの例
・ニンニクのアリシン
・マカのイソチオシアネート
・ブロッコリーのスルフォラファン
・黒ニンニクのアセチルシステイン
・ネギや玉ねぎのアイリン       など


その含硫フィトケミカルの中でも最も注目されているのが含硫アミノ酸であり、少量で高い機能性を発揮するのが特徴です。そのため、含硫アミノ酸や含硫アミノ酸化合物の中には、システイン、タウリン、グルタチオンやS-アデノシルメチオニン(SAMe)のように医薬品として使用されているものも存在します。

他の抗酸化物質との違い


エルゴチオネインの特徴は、
1. 大量のOHラジカルを高速で消去できる高い抗酸化能を有するのにもかかわらず安全である点
2. 細胞内に取り込まれ細胞内で働く点
3. 各組織に長期保持されて長く働く点
の3つです。

このような特徴から、少量での摂取でも有効性が期待されます。持続型アミノ抗酸化物質とも言えるでしょう。

エルゴチオネインの機能性

1. サーチュイン(長寿遺伝子)の活性

エルゴチオネインは、レスベラトロールなどと同様、SIRT1やSIRT6などのサーチュイン(長寿遺伝子)の発現が確認されています。
今後、サーチュイン活性を介した機能性が数多く報告されることが予測されます。

Nunzia D’Onofrio, Luigi Servillo, Alfonso Giovane, Rosario Casale, Milena Vitiello, Raffaele Marfella, Giuseppe Paolisso, Maria Luisa Balestrieri. Ergothioneine oxidation in the protection against high-glucose induced endothelial senescence: Involvement of SIRT1 and SIRT6. Free Radic Biol Med. 2016;96:211-22.
Makoto Katsube et. al. Ergothioneine promotes longevity and healthy aging in male mice. Geroscience. 2024;46(4):3889-3909.

2. 抗酸化作用

エルゴチオネインは、Cheahら(2017年)によって、ヒトで取り込み、代謝、および酸化的損傷と炎症のバイオマーカーへの影響が評価されています。
そして、酸化的損傷と炎症のバイオマーカーに減少傾向が認められています。

Irwin K Cheah, Richard M Y Tang, Terry S Z Yew, Keith H C Lim, Barry Halliwell. Administration of Pure Ergothioneine to Healthy Human Subjects: Uptake, Metabolism, and Effects on Biomarkers of Oxidative Damage and Inflammation. Antioxid Redox Signal. 2017;26(5):193-206.

【Cheahら(2017年)の報告概要】
健康なヒト被験者への5mgまたは25 mgのエルゴチオネインを 7 日間経口投与し、エルゴチオネインは、体に多くが吸収・保持され、血漿および全血濃度が大幅に上昇し、尿中排泄量が比較的少ない(投与されたエルゴチオネインの4%未満)という結果が細目されました。血中エルゴチオネインレベルは、ヘルシニンおよびS-メチル-エルゴチオネインのレベルと高い相関があり、代謝物である可能性が示されました。エルゴチオ投与後、アラントイン(尿酸酸化)、8-ヒドロキシ-2′-デオキシグアノシン(DNA損傷)、8-iso-PGF2α(脂質過酸化)、タンパク質のカルボニル化およびC反応性タンパク質など、酸化的損傷と炎症のバイオマーカーに減少傾向が認められました。ただし、ほとんどの減少傾向では、有意差が示されませんでした。

このエルゴチオネインの抗酸化作用によって、様々な効果が期待されます。その1つが糖化ストレスの抑制でしょう。糖化生成物(AGEs)の蓄積を抑制して、アンチエイジング効果や動脈硬化性疾患などの要望も期待できるでしょう。

エルゴチオネインの再発見 玉川大学農学部研究教育紀要 2016;1: 17-41.

3. 認知機能 ※タモギタケ由来原料で特許あり

エルゴチオネインは、ヒト臨床試験で認知機能改善の有効性が示さています。タモギタケ由来エルゴチオネインで5mg/日、おそらく合成もしくは発酵法で製造されたと推測されるエルゴチオネインで25mg/日・週3回で有効性が示されている。

※特許(特許第7281031号)が取得されておりますので、原則、弊社が取り扱う発酵エルゴチオネイン原料では、認知機能を謳う商品を製造することができません。なお、請求項1は「 L-エルゴチオネインを有効成分として含有する、加齢に伴う、単純注意力及び持続的注意力に基づく注意力低下の改善用の組成物。」となっております。

渡邉 憲和、松本 聡、鈴木 真、深谷 泰亮、加藤 将夫、橋弥 尚孝:健常者および軽度認知障害者に対するエルゴチオネイン含有食品の認知機能改善効果―ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験― 薬理と治療 2020; 48(4): 685-697.

健常者および軽度認知障害者に対するエルゴチオネイン含有食品の認知機能改善効果
【要旨】
目的:エルゴチオネインはキノコ類に多く含まれる親水性アミノ酸であり、抗酸化作用、神経新生作用、記憶改善作用などを有することが報告されている。本研究ではヒトの認知機能に対するエルゴチオネインの効果を調べることを目的とした。 方法:本研究は、52名の被験者(軽度認知障害者を含む男性18名、女性34名)に対してランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を実施した。被験者は被験食品としてエルゴチオネイン5mgを含有するタブレットまたはプラセボとしてエルゴチオネインを含まないタブレットを摂取した。摂取前、摂取開始からから4、8、12週間後にCognitraxによる認知機能テストを実施した。 結果:エルゴチオネイン摂取は認知機能速度においてプラセボ群に対して有意に改善していた。また機能性表示食品の認知機能領域の対象被験者において言語記憶、単純注意力および持続的注意力においてプラセボ群に対して有意な改善を示した。試験期間中、被験食品に起因する有害事象は認められなかった。 結論:エルゴチオネインの継続的摂取は健常人及び経度認知障害者に対する認知機能改善が示された。



Yu Fung Yau, Irwin K Cheah, Rathi Mahendran, Richard My Tang, Ru Yuan Chua, Rachel Es Goh, Lei Feng, Jialiang Li, Ee Heok Kua, Christopher Chen, Barry Halliwell. Investigating the efficacy of ergothioneine to delay cognitive decline in mild cognitively impaired subjects: A pilot studyJ Alzheimers Dis. 2024;102(3):841-854.

健常者および軽度認知障害者に対するエルゴチオネイン含有食品の認知機能改善効果
【要旨和訳】
背景:認知症、特にアルツハイマー病は、高齢化社会における主要な医療課題です。
目的:本研究は、高齢者の認知機能低下を遅延させる食品成分エルゴチオネインの有効性と安全性を検証することを目的としました。
方法:軽度認知障害を有する60歳以上の被験者19名を、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験(ClinicalTrials.gov 識別子:NCT03641404、登録日:2018年8月19日)に組み入れました。被験者は、エルゴチオネイン(1カプセル25mg)またはプラセボのいずれかを週3回、1年間服用しました。試験期間中、全血プロファイル、腎機能および肝機能マーカー、神経認知機能、血漿中のエルゴチオネインおよびその代謝物濃度、および神経変性に関連する血漿バイオマーカーを測定しました。
結果:エルゴチオネイン摂取は、試験期間全体を通して臨床安全性マーカー(血球数、腎機能および肝機能)に変化を及ぼさず、ヒトへの摂取における安全性をさらに裏付けました。エルゴチオネインを摂取した被験者は、学習能力評価においてパフォーマンスの改善を示し、血漿中のニューロフィラメント軽鎖濃度が安定しました。一方、プラセボ群では認知機能評価においてパフォーマンスの改善は見られず、ニューロフィラメント軽鎖濃度が有意に上昇しました。
結論:高齢者において、エルゴチオネインの長期摂取は毒性を示さなかった。レイ聴覚言語学習テストの成績向上とニューロフィラメント軽鎖濃度の安定化は、それぞれ記憶力と学習能力の向上、および神経細胞損傷の抑制を示唆しています。本研究の結果は、エルゴチオネインは長期摂取しても安全であり、高齢者の認知機能低下を遅らせる可能性があることを示す既存データに新たな知見を付加するものです。



4. 睡眠改善機能 ※サントリーホールディングスの特許あり

エルゴチオネインは、ヒト臨床試験で睡眠改善機能の有効性も示さています。
※特許(特許第7458410号)が取得されておりますので、原則、睡眠改善機能を謳う商品を製造することができません。

Makoto Katsube, Hiroshi Watanabe, Kosuke Suzuki, Takahiro Ishimoto, Yoshitaka Tatebayashi, Yukio Kato, Norihito Murayama. Food-derived antioxidant ergothioneine improves sleep difficulties in humans. J Functional Foods, 2022: 95: 105165.

エルゴチオネインのヒトにおける睡眠改善効果
金沢大学分子薬物治療学研究室とサントリーグローバルイノベーションセンター
【要旨】
睡眠障害は日常生活に支障をきたし、様々な疾患の発症にも関連しています。本研究では、経口摂取したエルゴチオネイン(EGT)が睡眠の質を改善する効果を評価しました。ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を実施しました。強い不安と睡眠に関する訴えを持つボランティアが、4週間にわたり毎日20mgのEGTまたはプラセボカプセルを摂取しました。調査の結果、EGTは睡眠障害を有意に改善することが示されました。脳波測定では、EGT摂取によりノンレム睡眠のN2段階が増加し、N1段階および入眠後の覚醒頻度が減少することが示されました。血清メタボローム解析では、EGTは血清グルタミン酸を減少させ、抗酸化物質および抗炎症物質の消費を減少させ、脂質代謝を促進することが示唆されました。分子標的アッセイでは、EGTがヒスタミンN-メチルトランスフェラーゼおよびアルデヒド脱水素酵素の活性、ならびにα3β4ニコチン性アセチルコリン受容体への結合を阻害することが明らかになりました。したがって、EGT は複数の作用機序を通じて睡眠障害を改善する可能性があります。



5. 肌乾燥への効果

エルゴチオネインを25mg/日含んだヒラタケ錠剤の摂取により、肌乾燥への効果が示されています。

Motoki Hanayama, Koichiro Mori, Takahiro Ishimoto, Yukio Kato, Junya Kawai. Effects of an ergothioneine-rich Pleurotus sp. on skin moisturizing functions and facial conditions: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Front Med (Lausanne). 2024:11:1396783. 2024;102(3):841-854.

エルゴチオネインを豊富に含むヒラタケ属菌類の皮膚保湿機能および顔面状態への影響:無作為化二重盲検プラセボ対照試験
【要旨和訳】
背景:抗酸化・抗炎症性アミノ酸であるL-エルゴチオネイン(EGT)は、様々なキノコの子実体に豊富に含まれています。しかし、EGT含有キノコがヒトの皮膚に及ぼす影響は未だ解明されていません。本研究では、EGTを豊富に含むヒラタケ属菌類(ヒラタケ)の新規菌株を経口摂取した場合の、ヒトの皮膚状態への影響を検討しました。

方法:健康な女性80名を対象に、12週間の無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施し、皮膚保湿機能および顔面状態を評価しました。被験者は、EGT 25mg/日を含むヒラタケ錠剤を摂取する群とプラセボを摂取する群に無作為に割り付けられました。皮膚水分量、経表皮水分蒸散量(TEWL)、および顔面スコア(VISIAスコア)を、ベースライン、8週目、および12週目に測定した。

結果:8週目では、ヒラタケ群のこめかみの皮膚水分量はプラセボ群と比較して有意に高かった。また、ヒラタケ群は、ベースラインと比較して、8週目と12週目に腕の皮膚水分量も有意に増加した。12週目では、シワとキメのスコアがヒラタケ群でプラセボ群と比較して有意に改善し、ヒラタケ群の血漿中EGT濃度はベースラインの4.7倍(3.4μMから15.9μM)に上昇した。さらに、血漿中EGT濃度は、腕の皮膚水分量およびTEWLの改善と有意に相関しており、これらの皮膚保湿効果の一部はEGTに起因する可能性が示唆された。ベースラインの血漿中EGT濃度が低い(3.3μM未満)被験者を対象とした層別解析の結果、ヒラタケ群ではプラセボ群と比較して、8週目および12週目のこめかみの皮膚水分量が有意に高く、12週目の腕の皮膚水分量も高い傾向にあることが明らかになりました(p = 0.074)。これらの結果は、EGTを豊富に含むヒラタケの経口摂取が皮膚の保湿機能を改善する可能性を示唆しています。

結論:EGTを豊富に含むヒラタケは健康な女性の皮膚状態を維持するのに役立つ可能性があり、EGTはこれらの有益な効果に関与している可能性があります。



エルゴチオネインは、優秀な抗酸化物質として、様々な効果が期待できるでしょう。

その他、美容(紫外線対策)や関節などでの実績もございます。また、量のクリエイティブを表現しやすい食品換算用の文献も準備されております。それらの情報をまとめた資料は、OEM顧客にのみ、提供させていただいております。

エルゴチオネインの安全性

現時点では、エルゴチオネインの毒性は確認されていません。
ラットによる90日反復毒性試験でも、1,600 mg/kg 体重/日で無有害作用レベルであり、忍容性が良好だったと報告されています。また、米国GRASや欧州食品安全機関(EFSA, 2016)では、2 件の亜慢性毒性研究に基づいたNOAELが800 mg/kg/dayであり、申請者から食品サプリメントとして成人で最大30mg/日、小児で最大20mg/日という摂取量が提案されています。

A Safety Evaluation of a Nature-Identical l-Ergothioneine in Sprague Dawley Rats. Int J Toxicol. 2016;35(5):568-83.
Safety of synthetic l-ergothioneine (Ergoneine®) as a novel food pursuant to Regulation (EC) No 258/97 EFSA 2016.

なお、エルゴチオネインは、令和3年11月1日、 医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リストに追加されています(薬生監麻発1101第2号)。エルゴチオネインの食薬区分を審議した有識者らは、「多くの食品に含有されており、安全性にも問題があるとは考えられない」と判断しています。

How to エルゴチオネイン

エルゴチオネインの1日あたりの摂取目安量は0.5~25mgです。
単味の場合、5~25mgが好ましいでしょう。

錠剤・カプセル・顆粒など、幅広い剤型に適しています。
エルゴチオ年は、熱安定性や酸安定性も高いとされているため、おそらく、ソフトカプセルへの加工も問題ないものと推測されます。
また、発酵法の原料は白色の粉体で、強い臭いもないため、味付けのある商品にも利用できます。水溶性の成分であるため、ドリンクやゼリーにも使えるものと推測されます。

エルゴチオネインは、現段階において、知名度は高くありません。非常に覚えにくい成分名であり、認知度が高まるまでかなりの時間を要すると予測されます。

したがって、クローズド販路向けの商品には向いていても、オープン販路では、売りにくいと予測されます。特に、主材としては、時期早々。
一方、少量の摂取で機能性も期待できる成分のため、副材として利用するにはオススメです。

商品カテゴリーとしては、美容系ではなく健康系アンチエイジング商品に適していると思われます。

タモギタケ来 or 発酵法

弊社では、タモギタケ由来の原料と発酵法で製造された原料(発酵エルゴチオネイン)の2種類を利用しております。
※原料での販売は行っておりません。

現時点では、エルゴチオネイン1%あたりのコストは、大きな差がありませんが、今後、発酵法の原料は、価格が下がってきています。徐々に製造メーカーも増えております。
エビデンス重視や機能性表示食品対応という点では、タモギタケ由来の原料の方が優位性が高いです。現時点では、発酵法というイメージ以外に、発酵法の原料(発酵エルゴチオネイン)の優位性はございませんが、今後、コストの優位性が出てくるでしょう。

なお、認知機能系の商品に関しては、タモギタケ由来の原料で、以下のような請求項で、特許が取得されています。発酵法の原料を使用する場合、注意が必要です。

L-エルゴチオネインを有効成分として含有する、加齢に伴う、単純注意力及び持続的注意力に基づく注意力低下の改善用の組成物。


味の有無による適正剤型や他の原料との組み合わせで、適性な原料も異なってきます。
細かい使い分けに関しては、弊社OEM営業担当にご相談くださいませ。

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