原価率と収益性の関係
弊社のノウハウ公開として、原価率と収益性の関係について、もう少し詳しく紹介いたします。
まず、原価率と収益性の関係を語るに際し、絶対に考慮すべきは、以下の2つです。
・LTV・リピート率
・商品カテゴリーのライフサイクル
弊社サイトでは、LTV(life time value)というワードを簡単に利用するが、通販や物販の初心者の方は、なかなか理解できないかもしれません。
かみ砕いて言うと、リピート率(生存率)やリピート回数(継続期間)などから成り立つ数値であり、一般的には商品単価をかけて一人当たりの売上の総和とすることが多いです。
リピート率が低ければ、必然的にリピート回数の平均も下がるので、LTVも下がります。
通販方程式で示されている式に、利益を求めるのにΣ(シグマ)を利用しているのは、リピート回数が利益に最も大きく寄与することを表しています。
2010年くらいに、上場前のテモナ株式会社の佐川社長から、たまごカートでリピート率やLTVまで分析できるというプレゼンを受けた時は、衝撃を受けました。それは、統計解析的に、通販事業の収益性を評価する上では、極めて重要な数字であることを理解していたためです。
近年は、こういったリピート率やLTVを商品別だけでなく、販売コース別でも評価するようになってきている。例えば、3個単位の定期コースであれば、値引きされてお得に返るので、比較的、リピート率やLTVが高くなりがちです。
北の達人さん(左は木下社長の書籍)のような勝ち組の通販企業は、こういった数値管理を自社で行っている。そして、かなりノウハウ公開も行われている。
通販で儲けるための本質は、如何にリピート率とLTVを高めるかにあるのです。
そして、勝ち組の通販会社のノウハウとしてだけ存在し、統計的に集計されていないと思われるが、リピート率やLTVは、商品カテゴリーのライフサイクルによっても大きく影響しているだろう。
上記の通販方程式のページでも、ベースサプリや青汁、コラーゲンなどといった商品をリピート率やLTVが高い商品群としているが、これらは、すべてライフサイクルが成熟し切った商品群です。
実は、こういった商品群が勝ち組通販企業の収益性を支えていたりする。
こういった商品群の特徴は、高原価率 であったりする。
ライフサイクルを考えると、非常に熾烈な価格競争が行われているから、当然のことである。
一方、広告費用対効果が高く、初期集客コストが低かったり、先述の通り、リピート率やLTVが高い。だから、高原価率でも収益性が高い。
実際、2024年、水面下で好調なのは、大手食品会社のコラーゲン商品やプロテインであり、どちらも粗原料の調達から販売者が行っており、コスパではとても敵わない図式が完成されている。当然、高原価であるが、他社が真似して作ると+20~30%も原価が上がるような作られ方がなされている。
販売価格と集客効率(コンバージョン率)
弊社では、過去、販売価格とコンバージョン率の関係性をマーケティングテストしたことがあります。原価700円くらいのアミノ酸サプリで、3980円・2980円・1980円(別途送料500円)で販売してみた。もちろん、同クリエイティブ。
結果、3980円と比較し、2980円のコンバージョン率は、約2倍になった。1980円のコンバージョン率は、なんと2980円の約2.5倍となり、3980円の約5倍です。
実は、こんなに差が開いた理由もある。
3個セットは送料を無料にしたためです。1980円の平均購入個数は2.3個となり、見事に3個セットに誘導されたのです。当然、利益率は下がったのだが、販売個数は2980円の約6倍だった。
なお、残念ながら、このテストでは、リピート率やLTVの算出どころか、ステップメール等の追っかけすら行わなかった。しっかり追っていれば、価格毎でリピート率やLTVの差が示されただろう。
現在、Amazonや楽天、Yahoo!でのみ売られている商品では、これに似た傾向が示されており、プライシング(価格)戦略だけで売れている商品も少なくないのだろう。
当然、ライフサイクルが成熟している商品ほど、高原価の商品がひしめき合い、熾烈な争いが繰り広げられているのだろう。
正直、かなり薄れたが、適正原価率15%という数値は、サントリーのセサミンなどの数値をベースに、通販神話時代に広告代理店が設定した値であり、広告側が都合良い値でしかない。
実際、この広告で販売する商品の適正原価率は、市場自身が成熟期を迎えているため、成長期の素材であっても、25%前後まで上がっているのが実際です。Amazonのようなモールだと、更に+10%程度だろう。
何れにしても、上記のような法則をしっかり理解した上で、商品設計や価格決めを行う必要があるのです。
店舗連動型通販など特殊な通販
通販と言っても、実は、通販には、いろいろなタイプの新規集客方法があり、広告を使わず、他の目的(クリニックなどの店舗集客や低用量ピルなど医薬品周辺ビジネス)で集客された顧客リストを利用して行う新規集客もある。
非常に効率の良い通販事業モデルであり、過去の弊社顧問先では、非常に効率の良い新規顧客獲得を可能にし、通販事業が急成長した事例もあります。
そういった集客方法は、それぞれ、注意すべき点もある。
クリニックやエステの顧客リストを用いる場合は、店舗での受付による販売とのバッティングです。通販が、店舗販売の敵になる。販売商品を分けたり、店舗で定期コースに誘導してインセンティブを設定するなど、上手い調整が不可欠になってきます。
低用量ピルの販売に絡めるなら、とにかく長期的に続け、本業の継続率も高めるような商品にするのが理想だろう。これは、男性のAGAでも同じです。