How to Use まめ鉄:フェリチン鉄
剤型(加工形状)
まめ鉄(フェリチン鉄含有の大豆抽出物)は、以下のような剤形で利用されています。
▶ 錠剤(タブレット)◎
▶ 顆粒 ◎
▶ ハードカプセル ◎
▶ ソフトカプセル △
▶ ゼリー △
× ドリンク×
鉄特有の味が少なく、大豆特有の風味を有します。そのため、錠剤や顆粒の商品での加工も可能です。
※現在、錠剤、顆粒、ハードカプセルでの製造実績がございます。なお、非常に嵩比重の軽い原料であるため、ハードカプセルに充填する場合は、充填量にご注意くださいませ。
用途・目的
まめ鉄(フェリチン鉄含有の大豆抽出物)は、主に鉄不足対策に用いられています。その摂取対象や詳細な目的は、多岐にわたっています。
現在、若い女性の向けの鉄不足対策、妊婦や授乳婦の鉄補充や子供向けの鉄不足対策など、様々な用途や目的で利用されています。
▶ 妊婦・妊活と鉄
中でも、若い女性の向けの鉄不足対策(月経による貧血対策)は、注目されているフェムテック・フェムケア市場の中でも、最も高いニーズがある用途です。
そのため、フェムテック・フェムケアニーズでも数多くのフェリチン鉄商品が市場で流通しています。
また、鉄欠乏を起こしやすいアスリート(スポーツを定期的に行う人)に対するニーズも高いです。
このスポーツ貧血については、ネスレ社のミロなどに鉄も配合されている大きな理由です。スポーツの中には、鉄欠乏を起こしやすい競技も存在します。
設計・製造上の注意点・ノウハウ紹介
大豆特有の風味を有する原料のため、錠剤や顆粒への加工も可能です。
そのため、ソイプロテインや青汁などに配合しても、オーガニックやナチュラルのイメージを維持しながらの商品開発が可能です。
ただし、豆特有の風味が嫌われるケースもございます。その場合、他の素材でマスキングすることをオススメしております。例えば、焙煎された玄米粉などの香ばしい素材との相性が良いです。
現在、加熱加工がある一般食品にも検討されていますが、まめ鉄の特徴成分であるフェリチン鉄は、タンパク質に包まれた生体鉄です。そのため、熱に弱いタンパク質は、加熱による加水分解で変性・分解してしまいます。タンパク質にくるまれている生体鉄も、フェリチン鉄同様、エンドサイトーシスという吸収機構で体内に取り込まれることまで報告されていますが、加熱による変性や分解により、吸収性が変化してしまう可能性がございます。
そのため、極力、タンパク質の変性が生じる加熱加工を避けた製造方法での商品化をオススメしております。
なお、一般的な流動層造粒や造粒打錠(打錠熱)などにおいて、一瞬の過熱や水分を伴わない加熱では、フェリチン鉄の変性や分解を生じさせないと考えております。
食事摂取基準や国民健康・栄養調査を基に、商品設計が行われています。鉄という栄養素は、圧倒的に月経のある女性へのニースが高いため、主に15~49歳の女性(月経あり)の摂取基準が用いられます。
出典:日本人の食事摂取基準(2015 年版)
そのため、まめ鉄を用いた商品は、不足量を補うため、鉄として5~10mg配合している商品が大部分を占めております。主に鉄不足を感じている女性に用いられるため、鉄としての配合量が多い商品が選ばれる傾向も強いです。
また、まめ鉄は、食品添加物に区分されないため、食品添加物不使用の鉄サプリメントに加工することも可能です。まめ鉄は、鉄の摂取量が増える妊婦や子供(高学年の小学生や中学生)に与えることを検討しているお母さんからのニーズも高いため、賦形剤にもナチュラル志向の原料が用いられることが多いです。
1日あたり10mgの栄養機能食品
鉄サプリメントの売れ筋は、1日あたり10mg設計の栄養機能食品(栄養機能表示:鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。)です。そのため、同様な10mg設計の栄養機能食品を求められるケースが多いです。
一方、鉄の栄養機能食品は、上限値も10mgであり、この量を越えてしまうと行政指導の対象になってしまいます。この上限値に関しては、誤差範囲(鉄:±20%)は認められません。
したがって、10mgを越えないよう少なめ(ただし-20%:8mgを決して下回らない量)の配合での商品設計が求められます。
まめ鉄は、現時点において、ヘム鉄(主に1.0~1.5%や2.0~2.4%)ほど、鉄の含有量が安定しておりません。
由来とする大豆の鉄含有量が経年変化、収穫時期や産地によって変動するためです。
その鉄含有量のブレの範囲も加味して、1日あたり10mgを越えないような管理を行う必要があるのです。
現在、弊社OEMでは、2つの調整方法で対応することをオススメしております。
1. 商品設計(まめ鉄配合量)を微調整する方法
使用する原料ロットの試験成績書の鉄含有量を用い、鉄含有量の理論値を9.6mg/日になるよう製造毎に配合量を微調整する方法です。
この9.6mg/日は、弊社の調整基準値であり、本原料における鉄の分析誤差(複数の分析方法で検証)を加味して設定されています。
この方法は、実際の商品の鉄含有量の安定性という意味では、非常に優れています。
分析誤差を加味しても、上限値を超える可能性も、ほぼほぼないでしょう。仮に、鉄含有量が7%のロットであっても問題はございません(原材料表記順の問題を除く)。消費者のお客様も、求める10mg/日に限りなく近い量を安定して摂取できるでしょう。
原則、弊社OEM供給(錠剤、ハードカプセル、一部の顆粒)では、本方法を採用しております。
一方、製造基準上の都合で、使用する原料ロット変更の度に微調整できないという受託加工会社さんも少なくありません。
そこで、代替の方法として、次の方法を推奨しております。
2. まめ鉄の鉄含有量データを活用する方法
弊社では、毎ロット鉄の含有量をチェックし、本原料の鉄含有量のデータを蓄積しております。
2023年5月までに入荷したロット(5ロット)の平均値は、5.87%(最大6.16%、最小5.50%)となっております。
そのデータより、最も無難な配合量を算出しています。
そして、基準設計として、算出された1日あたりの配合量を160~165mgに設定する方法です。
この配合量であれば、最低保証値の鉄5.0%であっても、鉄10mg表示の分析結果下限値8mg/日(-20%)以上を満たすことが可能です。
また、6.2%未満であれば、10mg/日を超える可能性も低いです。
平均値である5.87%でも、9.39mg/日であり、全く問題ございません。
ただし、まめ鉄の鉄含有量が6.25%を超える場合、配合量の調整が必要になります。
本原料は、天産物由来の原料のため、必ずしも鉄として6.25%を超えないことを保証することはできません。
ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
なお、まめ鉄は、嵩比重が軽く、分析誤差も生じやすいことが確認されています。加えて、分析方法によっても、値が異なってくる傾向も示されています。
特に、試作品で分析する場合などは、ご注意くださいませ。
造粒加工と変性
まめ鉄の顆粒商品は、主に流動層造粒の加工を行って商品化されています。一方、コストの関係上、顆粒の基材原料(賦形剤)を用いて混合のみを行う商品も存在します。
まめ鉄は、比重が軽く水に浮きやすいため、混合のみの商品だと、まめ鉄だけが浮いてしまう可能性がございます。また、仕上がりが造粒品よりまだらになってしまうでしょう。混合のみの商品は、ユーザービリティーの悪い商品になってしまいやすいです。
更に、不均一さによって、鉄の分析において、値のブレが生じてしまいやすくなります。
まめ鉄の顆粒商品は、ドリンクに溶かして利用されることもあるため、溶解性の高さも求められることがあります。その際、基材原料選びも重要になってきます。
弊社では、不溶性の基材原料より、水溶性の基材原料の方をオススメしております。
※水等に溶けない商品は、クレームを招く可能性が高まるだけでなく、リピート購入につながりにくなったりします。
なお、造粒の条件によっては、フェリチン鉄のタンパク質部分が変性もしくは分解し、黒みを帯びることがございます。
瞬間的な加熱であれば、フェリチン鉄の変性や分解は起こりませんが、高温度条件に限らず、アルコールを用いたり、多くの酸(ビタミンCやクエン酸)を配合した場合でも、変性や分解が起こりやすくなることが確認されています。
フェリチン鉄のタンパク質部分が変性もしくは分解の指標は、色であり、やや黒みを帯びます。例えば、右写真のように、2回のアルコールを用いた攪拌造粒では、1回の攪拌造粒より明らかに黒みが増します。
弊社での経験では、流動層造粒による熱より、アルコールを用いた攪拌造粒の方がやや変性・分解しやすい傾向が認められています。ご注意くださいませ。
相性の良い素材
鉄を中心とした商品、特に妊活向け・妊婦向けの商品の場合、造血に関与するビタミンである葉酸やビタミンB12
も配合されることが多いです。
亜鉛や銅といったミネラル素材と組み合わせも人気です。
また、以下の特設ページで紹介している通り。プロバイオティクスやプレバイオティクスの原料と組み合わせるのもオススメです。
なお、一般的に、ビタミンCは、鉄の吸収を促進することが知られておりますが、高分子のまま吸収される吸収機構を踏まえると、フェリチン鉄に関しては、当てはまらない可能性がございます。
もし、イメージでビタミンCを配合する場合は、フェリチン鉄に酸の影響を与えにくい原料を選定することが好ましいです。
米国USDAオーガニック認証を取得している原料のため、先述の通り、オーガニックやナチュラルのイメージを重要視する商品に利用されるケースが多いです。そのため、国産の野菜粉末や他のオーガニック原料などとの組み合わせも人気です。
また、近年は、人気が高まりつつあるヴィーガン向け健康食品サプリメントに用いられるケースも増えております。
クリエイティブ例
米国USDAオーガニック認証を取得しているため、限定的ではありますが、オーガニックを謳うことが可能です(20kg体のみ※2024年10月製造分まで)。
※平成27年の食品表示法の改正により、有機JAS商品以外のオーガニック表現も緩和されています。
※小分け原料では、オーガニック認証が謡えません(無農薬で栽培された大豆などの表現は可)。景品表示法に抵触する点を行政から指導を受けております。
原則、どの原料がどこの認証を取得しているかを示す必要があります。詳細は、OEMをご依頼の際、弊社担当者までお問い合わせくださいませ。
また、原料を供給するSloIron社の株主でありカリフォルニア大学(バークレー校)の教授:エリザベス・タイル教授によって開発された素材です。制限はございますが、カリフォルニア大学発のイメージはご活用いただけます。
※弊社では、エリザベス・タイル教授の写真を提供しておりません。
フェリチン鉄の特徴は、フリーラジカルを生じにくい構造です。吸収の際も、イオン化せずに、高分子のままエンドサイトーシスで吸収されるため、フリーラジカルが生じません。
現時点において、フェリチン鉄は、優しい鉄という表現までは可能と考えております。
クリエイティブFAQ
Q1. カリフォルニア大学で開発された原料と謳えますか?
A1. 共同開発したわけではないため、謳えません。
ただし、フェリチン鉄の栄養鉄としての研究や抽出の基礎研究は、カリフォルニア大学バークレー校エリザベス・タイル教授によってカリフォルニア大学で行われており、教授自身や研究に対して謳うのであれば問題ございません。
実際、本原料は、カリフォルニア大学で研究が行われており、フェリチン鉄としての定量分析も、大学内で実施されています。一方、カリフォルニア大学で開発された原料と謳うためには、大学とのライセンス契約と多額のライセンス契約料が必要になります。ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
Q2. フェリチン鉄の含有量は謳えますか?
A2. 原料として規格化されていないため、謳えません。ただし、原料でのフェリチン鉄量は、参考値として分析値が示されているため、原材料表示に大豆抽出物(フェリチン鉄含有)と表示したり、フェリチン鉄が含まれている旨の広告表現までは可能です。
なお、鉄の量を謳う場合、鉄としての量を謳わなければ(フェリチン鉄の量として謳ってしまうと)、優良誤認として景品表示法に抵触する可能性もございます。フェリチン鉄とは、鉄を包むアポフェリチン(タンパク質)とフェリチン内の生体鉄を合わせたものを指します。行政からも、ヘム鉄同様、鉄としての量で謳うよう指導を受けております。ご注意くださいませ。
なお、現時点での分析方法では、鉄として10mg配合した場合、フェリチン鉄は20~24mgと検出されておりましたが、改良された最新の分析方法では、50~60mgという値も示され始めています。こういった分析精度の問題から、フェリチン鉄としての含有量を規格値ではなく参考値とし、フェリチン鉄量としての含有量表示も推奨しておりません。ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
Q3. 添加物不使用を謳えますか?
A3. 厳密には、謳えません。2022年3月30日、行政からの無添加のガイドラインが示され、加工助剤を使用していたりキャリーオーバーが含まれる原料も無添加が謳えなくなり、本原料も無添加を謳えなくなりました。
ガイドラインに沿った場合、原材料に用いられている加工助剤以外の食品添加物不使用(無添加)という限定的な無添加表示なります。
Q4. ヴィーガン認証を謳えますか?
A4. 原料を使用しただけでは謳えません。ヴィーガン認証は、商品毎で個別に取得する認証になります。必ず、最終商品でヴィーガン認証を取得する必要がございます。
※原料としてのヴィーガン認証は存在しません。
Q5. 米国の商品名SloIronを用いることは可能ですか?
A5. 別途英語での契約を行えば、利用可能です(サンプル商品のご提出と事前のパッケージ・ラベルチェックが必須)。一方、北米における独占契約の関係上、北米への輸出向けの商品には用いることができません。ご注意くださいませ。
Q6. 他の鉄を配合した場合、フェリチン鉄とパッケージに表示できますか?
A6. フェリチン鉄由来の鉄の含有量が他の鉄素材由来の鉄量より多い場合は、優良誤認の無いようにフェリチン鉄と強調表記が可能です。
一方、ヘム鉄でも同様な指導がなされているようなのですが、フェリチン鉄由来の鉄量が他の鉄素材由来の鉄量より少ない場合、フェリチン鉄の強調表記は、優良誤認に見なされると行政から指導を受けております。その場合、フェリチン鉄の強調表記はできません。あくまで、最も多く配合されている鉄素材名を強調表記する必要があるのです。
※2024年3月以降、上記の優良誤認表記を防ぐため、使用条件に「フェリチン鉄由来の鉄量を他の鉄素材由来の鉄量が超えないこと」という条件を加えております。
ロゴの使用
弊社では、和名製品名:まめ鉄のロゴ(左)も提供しております。
商品や広告クリエイティブでご活用いただけます。
原料の使用申請書/承諾書をご提出いただく際、まめ鉄の商標利用を選択いただければ、ロゴデータも提供させていただきます。
なお、ロゴは、カラーと白黒(モノトーン)の2種類を用意しております。また、商標を利用される場合、優良誤認(景品表示法)の観点から、まめ鉄の商標が弊社の登録であることを必ず明記いただいております。
OEMについて
弊社の自社原料を主材として高配合した商品のOEMには、自信がございます。上記のような利用上のポイントも加味して、ご提案させていただいております。
弊社のOEM事業は、提案の質とスピード、そして、OEM製造が初めての方にも優しいサポートです。
OEMでの商品供給にもご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。